いつもの眺め

蒼さの残る朝
輝きを増すオレンジ色の空。
窓辺の花やコーヒーミル、洋梨が外に広がる風景の中で動き始める。

その『いつも』に安心感とこれから始まる一日への期待感を起こさせる作品となっています。

作品解説

およそ絵を学んだものは
「禁じ手」を避ける
なのに城ケ崎はよく
「禁じ手」を使う

例えばふつう画面の中心に
「立つもの」は置かない
この作品では
「赤い花」をまん中に
位置させているが
ふつうこの一点で
絵は「硬直化」してしまう
城ケ崎はそれを逆手にとって
「面白さ」に変えている

花と花びんは
左に座を譲るように構え
右にあるもの
ひとつひとつを
重い左に引きよせ
密かに動きを生じさせる

また同じ色は離れても
呼応しあい
惹かれあう引力を
生み出す

鑑賞者は同じ色
を探しながら
形や線の趣きを感じ
画面という「宇宙」を
行き巡ることになる

何が
どこで
どのように
描かれているか

城ケ崎の意図に
気づくとき
ある人は
思わず「にやり」
としてしまい
「愉悦」を満腔（体全体）に感じる