来し方
森の空気を纏って、ギターを奏でる女性。
城ヶ崎本人もギターを弾きます。
穏やかで優しい音色は絵と同じでしょうか。
城ヶ崎の絵には、バイオリン、ギター、サックス、マンドリンが出てきますが、それはそれを奏でる人々との出会いがありました。
モデルとしてほのかにその人々の佇まいが反映されているとはいえ、音楽を楽しむ、愛する人々のカタチを描いていると感じます。
2023 F3サイズ ¥180,000
作品解説
この絵は
まるで無造作に描かれたように
見えるかもしれませんが
実は画家としての手練れた表現が
隅々に見られます
例えば
顔の下の三角形は
底辺がちょうど 鎖骨の位置にあり
生命感が与えられています
(鎖骨はマンガやイラストを
見ていただくと分かりますが
単純化された中で
必ず描かれる部位です)
斜辺は
肩のなだらかさと
首のスラリとした長さとの
調和を計りつつ
女性らしさを演出する
絶妙な角度と肌の面積を
作り出しています
ギターの切り欠いた黄色と
茶色のバランスが美しく
ゴツゴツとした描線が
女性らしさを引き立てています
並木道に配色された様々な
緑のハーモニーの美しさは
心に静かな心地よい
さざ波が立つようです
城ヶ崎は
外国の絵本の童画のような
雑誌の表紙のような
見慣れたものの
スタイルを借りて
それらを「作品」という高みまで
昇華させているのです