小さな旅
作品解説
その名の通り
絵という遊園地を
旅することができる
つまり立ち止まる先々で
色々な体験がある
例えば
右の鳥は垂直に翔び立ち
屋根のアーチに沿って
黄色で囲まれた鳥まで
たどり着く
その時最初の鳥と
屋根の線が
同軸上にあること
その線は
全体が平面的の中で
白い光を照らしかえす
立体表現になっていること
ひとつに
これが絵の中を導く
心地よい導線となっている
そこで 辺りを見回してほしい
くすんだ 壁がなぜ
鮮やかに見えるのか
それは 彩度をあげた
差し色を
要所要所に散りばめて
いるからである
さらに 均一に塗った部分と
透けるかのように
まだらに塗られた部分が
バランスよく配置されて
ある種の解放感を生んでいる
画家の手招きに応じて
絵の中を行き巡り
立ち止まる一瞬一瞬
なぜそこが美しく
なぜそこが 楽しげなのか
細かく散りばめられた
謎を解く時に
この絵は確かな旅と
なるはずである